中小企業がDXを推進するための課題

①経営層の危機意識とコミットにおける課題

多くの経営者が、将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを創出・柔軟に改変するDX の必要性について理解しているものの、 新たなデジタル技術を活用できるように既存システムを刷新するという行動を取る企業はまだまだ少ないのが現状です。
なぜ、必要性を理解しているものの行動に移さないのかといと、①業務が担当者任せになっていて、効率化の必要性を認識していないか、認識していても改善について担当者に強く言えない、②既存のシステムがブラックボックス化しており、変更したり作り変えることの大変さを考えると二の足を踏んでしまっている、③社内に任せられる人材がいないことを理由にして取り組もうとしないなどの理由によるところが多いと思われます。

変化を求めると抵抗があるように、DXにおいても現場の理解がなければ進みません。 各部署ごとに個別に最適化されたバラバラなシステムを利用しており、全体最適化を求めて標準化を試みても、それぞれの部署が抵抗勢力となって前に進まない場合、担当者の反対を押しきることができるのは経営トップのみで、DXを成功させるという経営者のコミットメントとスポンサーシップが重要なキーとなります。

②現場サイドの抵抗

経営者がDX を望み、データ活用のために業務自体の見直しを求めたとしても、現場サイドの抵抗が大きく難航する場合や最悪の場合、頓挫することも起こり得ます。 いかに現場を巻き込み、DXを実行するかが大きな課題となります。 しかし、よく考えてみると、新しい物事に取り組む際には、旧来のやり方が否定されてしまうのかという反発や、未知の事象に対する不安や懸念などが生じるのはむしろ当然のことなのかもしれません。
そこで、現場における業務プロセスのそもそも論や、今後どうなるべきなのかを未来予測で対話を重ね目指すビジョンを共有し、「やり方を変えない=停滞ではなく退化」であることを認識してもらう努力が必要になります。

③急激な変化へのリスク

上記で現場サイドの抵抗が課題だと書きましたが、一方では、急激な変化を受け入れられず人材が流出するリスクもあります。従業員の8割は、会社が変化を求めれば、「今より悪くなる」と感じるとのアンケート結果もありますから、DX導入によって、その人の仕事がどう変わるのか、変わったあとの仕事に不安を感じないようにサポートすることが大切です。
DXはデジタル化を進めて行きますが、その裏では、人の状態に対するケアが欠かせません。業務を変革しても実行する人がいなくなっては、元も子もありませんので、現場を巻き込むリーダーシップがとても重要です。